長い就職活動や転職活動を経て入社したものの「仕事内容が求人票と違う」「交通費が出ると書いてあったのに出なかった」「ボーナスや給与、福利厚生が求人内容と違った」など、求人情報と仕事内容が違うために辞めたいと考えている方もおられるでしょう。
履歴書や職務経歴書の作成や面接をしたのに、いざ働いてみたら「デザイナーで応募したのに、営業部門に回された」となると、これまでの時間が無駄だったと思えるだけでなく、仕事のモチベーションも下がりますよね。
求人と仕事内容が違う場合に辞めたいと思うのは当然のことです。しかし、数か月、なかには1ヶ月しか働いていないのに辞めると「次の転職に響くのでは?」「転職の際に面接で仕事内容が違うから辞めたとそのまま言っていいのか」など不安なことも多いはずです。
本記事では、仕事の内容が違うからやめたいと考えている方が、無事に退職・転職するためのポイントをご紹介します。
本記事の内容を見れば、無事退職することはもちろん、転職の面接をうまく乗り切ることができます。
仕事内容が違うから辞めたい!労働基準法で退職は認められる
労働基準法では、労働条件が事実と異なる場合、無条件に退職することができます。
(労働条件の明示)
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
② 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
③ 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
ただし、求人サイトやハローワークなどの情報と相違があるだけでは、労働基準法に抵触しない可能性もあります。
というのも、求人サイトやハローワークの情報はあくまでも参考であり、年齢や実績によって給与が変わるからです。
労働基準法に抵触するのは、入社が確定した際に発行される「労働通知書」の内容と相違がある場合は、求職側から退職を求め、辞めることができます。
労働基準法に抵触する場合としては、「労働条件通知書には「基本給18万円」と記載されていたが、入社後に確認すると20時間の残業をしなければ基本給18万円はもらえなかった」などです。
労働条件通知書の他に雇用契約書に記載されている内容が現状の労働条件と異なる場合は退職可能です。
仕事内容が違うから辞めたいと思った時の対応を時系列で解説
仕事内容が違うからやめたいという場合には、労働基準法に抵触する場合はすぐに辞められます。
しかし、求人票と内容が異なるだけで、労働条件通知書や雇用契約書と内容が異なる場合は、以下の手順で状況確認を行いましょう。
・上司に相談する
・労働基準監督署に相談する
・退職を決める前に転職活動をはじめる
上司に相談する
当たり前のことですが、まずは上司や人事・採用の担当者に相談してみましょう。
会社側が複数求人を出している場合は単純に勘違いして仕事を任せている可能性もあります。
この場合は、上司や採用担当者に相談することで、求人票通りの部署に移動できる可能性があります。
また、勤務条件や給与体系なども改善される場合があるため、労働条件通知書や求人票の情報を照らし合わせながら、状況確認を行いましょう。
労働基準監督署に相談する
上司や採用担当者に相談しても改善されない場合は、労働基準監督署に相談してみましょう。
素人の判断では「労働基準法に抵触するのか」「どうにかやめる方法はないのか」を見つけるのは簡単ではありません。
「仕事内容が違うからやめたいんだけど、この場合は辞められるの?」「給与が聞いていた金額と違うんだけど、これって問題?」という些細な違和感は労働基準監督署に相談しましょう。
労働条件相談については、全国どこからでも電話で相談できます。
労働基準監督署の電話番号電話番号は「0120-811-610」です。
労働基準監督署の担当者と直接話がしたい人は、都道府県ごとの労働局に相談しましょう。
参考:都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧
退職を決める前に転職活動をはじめる
仕事内容が違うから辞めたいと検索されている方はすでに「今すぐ辞められるなら退職したい」と考えている方がほとんどでしょう。
仕事は辞められないことはないので、労働基準監督への相談と同時並行で次の転職先も探しておきましょう。
転職先を探す際には自分だけで探すと「また仕事内容が違う会社に入社してしまった」と最悪の状況の二の前になる可能性があります。
そうならないためにも、ハローワークを含め、転職エージェントに登録して、会社選びの補助を受けましょう。
特に転職エージェントは会社の内部の人とつながった上で、非公開求人の紹介や条件の優遇などを行ってくれます。無料で使えるので、利用していない人に比べて有利に転職を進められます。
仕事内容が違うから辞めたい時に即辞めてもいい人・我慢した方がいい人の特徴
仕事内容が違うから辞めたいと思った場合、即辞めてもいい人と我慢した方がいい人がいます。
即辞めてもいい人 | 我慢した方がいい人 |
・経済的に余裕がある人
・心身の健康が悪化している人 ・他にやりたいことや転職先が既に決まっている人 |
・経済的な事情や家族のために一定期間働く必要がある人
・転職先を見つけるまでの間、収入を確保したい人 ・仕事以外の環境や福利厚生が良く、我慢できる範囲内の問題である人 |
以下に、それぞれの特徴を紹介します。
即辞めてもいい人
即辞めてもいい人は、以下の特徴があります。
・経済的に余裕がある人
・心身の健康が悪化している人
・他にやりたいことや転職先が既に決まっている人
転職にかかる費用は一般的に40万円前後かかるといわれています。そのため、貯金がある方はすぐにやめてもOKです。
ただし、仕事がストレスで心身の健康状態が悪化している方はすぐに辞めても大丈夫です。身体を壊してしまっては社会復帰ができなくなるため、病院を受診し、心身が疲弊していると診断された場合は退職手続きを進めましょう。
他にやりたいことが明確に決まっている場合は「デザインをしたかったのに営業職に回された」など、仕事内容の違いを理由に退職したことを正当化できるので、転職も簡単です。なのですぐに辞めてOKです。
少しだけ我慢した方がいい人
少しだけ我慢した方がいい人は、以下の特徴があります。
・転職先を見つけるまでの間、収入を確保したい人
・経済的な事情や家族のために一定期間働く必要がある人
・仕事以外の環境や福利厚生が良く、我慢できる範囲内の問題である人
貯金がない人や自分以外に養う家族がいる場合はすぐに辞めるのはNGです。
働きながら休みの日を活用して転職活動を行いましょう。
働きながら転職をするなら「転職エージェント」は利用しなければ損です。
転職エージェントは履歴書の作成・企業選定・面談設定まで担当者が代行してくれるので、休日を転職活動に充てられるだけでなく、転職のことを毎日考える必要もありません。
求人票の仕事内容が違うから辞めたい時の退職理由を例文付きで解説
仕事内容が求人票と異なるために辞めたい場合、以下は退職理由の例文です。
例文1「入社前に説明された仕事内容と実際の業務が異なり、自分のスキルや興味に合わないことが分かりました。そのため、自己成長とキャリアの観点から、他の職場でより適した環境を探すため辞めさせてください」
例文2「求人票に示された業務と実際の仕事内容が大きく異なり、自分が期待していた成長ややりがいを感じることができませんでした。自分の能力を最大限に活かせる職場を探すために、転職を考えています。」
例文3「入社前の話し合いで説明された業務と実際の業務内容に大きな乖離があり、自分のスキルや経験が活かせない状況です。より適した職場で成果を上げたいと考え、転職活動に取り組むために退職を希望しています。」
ここまでかしこまったいい方をする必要はありませんが、以下の2点を抑えておいてください。
・仕事内容が求人内容と異なること
・自分の力を発揮できないこと
企業側は口頭で止めることはできても、法的に「退職させない」ことは不可能です。なので、退職理由と転職することを伝えればOKです。
仕事内容が違うからやめたい!理想の転職を行うための3つのポイント
理想の転職を行うための3つのポイントは以下の通りです。
・採用面接で仕事内容の質問をする
・面接時は正直に「仕事内容が違うからやめた」と伝え、嘘はつかない
・転職のプロに相談する
採用面接で仕事内容の質問をする
転職活動時に採用面接で仕事内容の質問をしておきましょう。
求人内容から仕事内容の違いを見極めることはほぼ不可能です。そのため、求人や企業HPをくまなく確認し、仕事内容に関する質問内容を決めておきましょう。
例えば、デザイナー職の場合は「LPデザインかバナーの作成のみか」「試用期間でどんな業務を担当するのか」を聞きます。
試用期間での業務はこれから担当する仕事になるので、必ず確認しておきましょう。
面接時は正直に「仕事内容が違うからやめた」と伝え、嘘はつかない
転職時には「退職・転職理由」を正直に話すことが大切です。
というのも、数か月でやめる場合は「スキルアップしたいから」など向上心を見せるように退職理由を偽っても見抜かれてしまいます。
採用面接に携わる人は年間数百万円かかる人材を採用試用と考えているため、嘘は簡単にばれてしまいますし、うそをついていると見抜かれた場合は信頼もされず落とされてしまう可能性が高いです。
仕事内容が違うという理由で早期で会社を辞めた場合はその理由を正直に話した方が面接に受かりやすいです。
転職のプロに相談する
転職のプロに相談して企業情報を調べてもらったり、仕事内容を事前に確認してもらうこともおすすめです。
一度企業選びで失敗しているのであれば、再度失敗することも可能性としては否めません。
毎日数十人の転職サポートを並行しながら行う「転職のプロ」である転職エージェントへ相談すれば、ほかの転職者の事例もふまえてベストな選択を促してくれます。
例えば、あなたにあった非公開求人を見つけてくれたり、そもそも転職すべきなのかを見極めてくれたり、履歴書作成なども手伝ってくれるので、とにかく転職活動を楽にできます。
専門的な資格を持っている方は専門のエージェントを選ぶと自分に合った求人を見つけやすいです。未経験の場合は、マイナビエージェントやリクナビエージェントなど求人数が多くエージェントの質も高いところを選ぶのがおすすめです。
まとめ
仕事内容が求人票と異なる場合、辞めたいと感じるのは自然なことです。
上司との相談や労働基準監督署への相談など、円満な退職のための対応方法があります。
また、次の転職先を見つける際には注意深く情報を収集し、求人票と実際の仕事内容が一致するかを確認しましょう。退職後は失業保険の申請も忘れずに行い、安定した転職活動を進めましょう。
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