前作「ドラゴン桜」

「エンゼルバンク―ドラゴン桜外伝―」の前作「ドラゴン桜」は2003年から2007年まで講談社の漫画雑誌「モーニング」にて連載されていた漫画です。東大受験がテーマとなっており、さまざまな受験テクニックや勉強法が紹介され、和田秀樹の著書「受験は要領」や福井一成の著書「一発逆転○秘裏技勉強法」と並び受験業界で話題を呼んだ作品です。一話ごとに、受験に臨む心がけなども紹介されています。また、子育てに関するエピソードも盛り込まれており、作品がカバーする領域が広いのも特徴となっています。主人公の桜木は物語冒頭において、大勢の生徒たちを前にして「世の中のルールは頭のいいやつに都合のいいように作られており、勉強をしないやつはそれに騙されつづける」と言い放つなど、現実の厳しさも生徒に叩きこんでいきます。タイトルの「ドラゴン桜」は、作品の舞台である龍山高校の「龍」とサクラサクなどの合格を意味する「桜」から来た造語です。作者本人は明治大学卒ですが、東大卒の編集担当者による「東大など簡単に入れますよ」という言葉が「ドラゴン桜」を製作するきっかけとなったのだそうです。そのためストーリーの前半は、東大卒の編集担当者の体験が材料となっています。

あらすじ

元暴走族の駆け出し弁護士・桜木健二は、経営破綻状態となった落ちこぼれ高校・私立龍山高等学校の清算を請け負うこととなりました。桜木は、破綻を回避し経営状態をよくするためには、進学実績、それも東大の合格者数を上げるのが手っ取り早いと考え、5年後に東大合格者100人を出すことを掲げます、そのための第一歩として特進クラスを開設し、スナックのママをやっている母のような生活を見て人生を諦めかけている水野直美と、裕福な家庭で育つも落ちこぼれてグレている矢島勇介を受け入れ、1年目でも最低1人の合格者を出すことを定め、そこに以前から受験指導に大きな実績を上げつつも、いろいろな事情で表舞台から消えていた個性溢れる教師を集めはじめます。

登場人物

桜木健二(さくらぎけんじ)

元暴走族という異色の経歴を持つ貧乏弁護士です。元はバスケ推薦で名門高校に行く事を約束されていたのですが、友人に負わされた借金による父親の保険金自殺によって全てが狂ってしまいました。虎ノ門に弁護士事務所を開設する一里塚として、龍山高校の再建に臨みます。なおこの件は本来エリート弁護士である岡部が担当するはずでしたが、桜木が元暴走族だったことを書いた週刊誌の風評被害により仕事がなく、本人曰く「岡部先生に仲介してもらえなかったら来月の家賃も危ないところだった」と生活に困憊していたため、岡部が譲るという形で担当となり、本来の内容は学校の民事再生法適用を告げた後、管財人となる弁護士が職務を引き継ぐ予定でした。しかし、それだと「俺の役目が終わるからデカいことをしたい」と、龍山高校を進学校にする構想をその時練り、特別進学クラスを新設しその責任者に就任しました。その一方で、センター地歴の世界史を「スクラム勉強法」という手法で生徒と共に学びました。リアリズムを徹底した生き方をモットーとし、自分の考えははっきり他人に伝え、性格は明け透けとしている。よく言えば冷静で論理的、悪く言えば冷酷で理屈っぽい人間です。

井野真々子(いのままこ)

龍山高校の英語教師です。私大の文学部英文学科を卒業しました。過去にお見合いパーティーで桜木と出会い、行為に及びましたが、その後連絡が付かなくなったことで桜木を恨んでいました。正確には桜木が携帯電話を料金不払いで止められていただけでした。物事に対して逃げの姿勢が多い自己保身者で、勉強を生徒に押しつけるのに自分に面倒なことを押し付けられるのは勘弁という身勝手な理由から、桜木及び川口の指導方針に対抗します。「エンゼルバンク―ドラゴン桜外伝―」では主人公として登場します。

柳鉄之介(やなぎてつのすけ)

特別進学クラス講師として最初にやってきた人物です。専科は数学。かつて東大の進学実績で名高かった伝説の私塾「柳塾」の塾長であり、「高校数学の鬼」と呼ばれ、受験生から恐れられていました。しかし、「詰め込みこそ、真の教育である」という柳の考え方が徐々に生徒や保護者達に拒絶され、塾からは生徒が去って行ってしまいました。かつて阿院と理数専門塾をやっていました。

川口洋(かわぐちひろし)

特別進学クラス講師の二番手です。専科は英語。「英語は楽しく勉強しよう」がモットーであり、独特なユーモアを持っています。ビートルズの曲の歌詞をエアロビしながら復唱させるなど奇抜な授業が多く、井野からは公然と反発されています。京都府亀岡市にある進学塾・竹岡塾主宰の竹岡広信がモデルとなっています。

芥山龍三郎(あくたやまりゅうざぶろう)

特別進学クラス講師の三番手で、専科は国語です。風貌や物腰が柔らかな印象に対して、国語に対する姿勢には凛とした厳しさを秘めています。国語は全教科の試験の点数に影響し、根本を為しているほど肝要であるという考えを持っています。生徒には常に「なぜ?」という疑問を持たせ、設問を作った筆者の意図を読ませる授業などを行います。芥川龍之介をモデルとしています。

阿院修太郎(あいんしゅうたろう)

特別進学クラスに最後にやって来た、理科の講師です。地学も担当しています。「~でヒ」が口癖です。具体的なイメージが持ちにくい高校の理科を自作のテキスト「阿院の物理」などを使って図解などを通して分かりやすく教えます。1、2年生の特進クラスでは実験を取り入れた授業も行っています。モデルはアルベルト・アインシュタインです。

高原浩之(たかはらひろゆき)

龍山高校の数学教師です。早稲田大学教育学部を卒業しています。龍山高校の経営状況が明るみに出た際に他校から誘いを受けたのですが、自身の理念を実現するために留まりました。「生徒たちに夢や希望を持たせ、教師はそのサポートをしてあげる」などを教育モットーとして掲げ、たびたび桜木と衝突します。生徒が未熟な存在という考えに立って、むしろ生徒の力を伸ばさない偽善的な教育だと桜木に非難され、そのやり方に反発していましたが、生徒たちの変化を見るにつれ、桜木の考えに段々と心を動かされるようになりました。

宮村沙知子(みやむらさちこ)

龍山高校の国語教師です。私立女子大の文学部国文学科を卒業しています。教師としての自分に自身を持てないでいましたが、学校が変わるきっかけになればと思い、桜木の指導方針に賛同しました。国語の特別講師である芥山の指導方法に対し時には反発することもありますが、授業を見学してゆくうちに彼の考え方に少しずつ理解を示すようになりました。

矢島勇介(やじまゆうすけ)

龍山高校3年生で特進クラスの生徒です。裕福な家庭の三兄弟の末っ子であり、幼い頃は両親から高い期待を受けて育ちましたが、中学受験に失敗したことをきっかけに、優秀な兄たちに対する劣等感や両親への反発から勉強をしなくなりました。桜木にも反発しており、邪魔をしてやるつもりで特進クラスに加わりましたが、桜木や特別講師陣の指導を受け、次第に勉強に取り組むようになり、元来持っていた高いポテンシャルを発揮し始めます。負けず嫌いで意地っ張りなところがあり、桜木達の指示に従わないこともありますが、仲間である水野の不調を気遣うなど優しい面も持ち合わせています。また、両親にも勉強を通じて心を開くようになりました。最終回では合格点に一歩及ばず東大受験に失敗してしまいますが、「積み上げてきたことは失敗じゃない」と前向きに語り、浪人した再び東大を目指しました。

水野直美(みずのなおみ)

龍山高校3年生で特進クラスの生徒です。両親が中二のときに離婚しており、現在は江古田でスナックを経営する母親と二人暮らしです。髪を染めたりルーズソックスを履いたりしていますが、生活スタイルは地味なようで、学校内ではいつも一人でした。媚びを売って生活する母のように落ちぶれたくない、一人で強く生きていくというのが東大を目指した動機です。次第に特進クラスの講師陣を強く信頼するようになります。最終回直前で見事東京大学理科Ⅰ類に合格し、龍山高校初の東大合格者として錦を飾って卒業しました。

栗山祥太(くりやましょうた)

龍山高校2年特進クラスの優等生です。井野によって対特進クラス生徒との英語テスト対決に駆り出されました。中堅私大程度なら楽に行けると言われていたほどの学力の持ち主ですが、体が弱いため歩いて登校できる龍山高校を選びました。口数が少なく、おとなしい性格です。

西崎麻美(にしざきあさみ)

龍山高校2年特進クラスの生徒です。将来、女優やタレントになるために東大ブランドを利用しようと考えています。井野とは犬猿の仲ですが、案外それでバランスをとっているようです。水野に対抗意識を燃やしています。

本田美智子(ほんだみちこ)

秋から矢島の家庭教師を務める現役の東大4年生です。かつては東北の商業高校を卒業し、卒業後は地元の銀行で働いていたのですが、入社2年目にしてその銀行が突然倒産してしまいます。その経験から無知であることの恐ろしさを悟り、東大に入学して経済を一から勉強することを決意しました。桜木が認めるほどの凄腕で、考え方には桜木と共通するところも多いです。

ドラマ化

2005年にドラマ化されましたが、生徒の数が原作に比べて多かったり、登場人物の恋愛模様が描かれていたり、原作の完結より前に最終回を迎えたためオリジナルの結末が用意されているなど、原作とは大きく作りが異なっています。また、里見蘭によるノベライズ化もされています。こちらは大筋は原作に準じていますが、原作で描かれていない桜木の過去のエピソードが語られるなど、多数の追加・変更がなされています。なお、結末も原作とは異なっており、続編である「エンゼルバンク―ドラゴン桜外伝―」とのつながりは無くなっています。2010年1月からは、韓国でも本作品を原作としたドラマが制作され、KBSで放送されました。5人の特進クラス生などの基本設定は日本版と同じですが、生徒の家庭環境の一部変更や、日本版では実在する東京大学を目指しているのに対して架空の「天下大学」にするなどの変更がなされています。韓国においての「東大」にあたるソウル大学にしなかったのは、学歴主義を助長するという批判をKBSが考慮したためでした。

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